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ごんぎつね 第五章. 第六章

第五章ごんは、お念仏がすむまで、井戸のそばにしゃがんでいました。兵十と加助は、またいっしょに帰っていきます。ごんは、二人の話を聞こうと思って、ついていきました。兵十の かげぼうし をふみふみ行きました。お城の前まで来たとき、加助が言いだしました。「さっきの話は、きっと、そりゃあ、神様のしわざだぞ。」「えっ。」と、兵十はびっくりして、加助の顔を見ました。「おれはあれからずっと考えていたが、どうも、そりゃ、人間じゃない、神様だ。神様が、おまえがたった一人になったのをあわれに思わっしゃって、いろんな物をめぐんでくださるんだよ。」「そうかなあ。」「そうだとも。だから、毎日、神様にお礼を言うがいいよ。」「うん。」ごんは、「へえ、こいつはつまらないな。」と思いました。「おれがくりや松たけを持っていってやるのに、そのおれにはお礼を言わないで、神様にお礼を言うんじゃあ、おれは引き合わないなあ。」 第六..

Japanese Arts 2024.05.19

ごんぎつね 第四章

第四章月のいいばんでした。ごんは、ぶらぶら遊びに出かけました。中山様のお城の下を通って、少し行くと、細い道の向こうから、だれか来るようです。話し声が聞こえます。チンチロリン、チンチロリンと、 松虫 が鳴いています。ごんは、道のかたがわにかくれて、じっとしていました。話し声は、だんだん近くなりました。それは、兵十と、加助かすけというお百姓でした。 「そうそう、なあ、加助。」と、兵十が言いました。「ああん。」「おれあ、このごろ、とても不思議なことがあるんだ。」「何が。」「おっかあが死んでからは、だれだか知らんが、おれにくりや松たけなんかを、毎日毎日くれるんだよ。」「ふうん。だれが。」「それが、分からんのだよ。おれの知らんうちに置いていくんだ。」ごんは、二人の後をつけていきました。「ほんとかい。」「ほんとだとも。うそと思うなら、あした見に来いよ。そのくりを見せてやるよ。」それなり、二人はだま..

Japanese Arts 2024.05.19

ごんぎつね 第二章. 第三章

第二章十日ほどたって、ごんが弥助やすけという お百姓 のうちのうらを通りかかりますと、そこの いちじく の木のかげで、弥助の 家内かない が、 お歯黒はぐろ をつけていました。 かじ屋 の新兵衛しんべえのうちのうらを通ると、新兵衛の家内が、 かみをすいて いました。ごんは、「ふふん、村に何かあるんだな。」と思いました。「なんだろう、秋祭りかな。祭りなら、たいこや笛の音がしそうなものだ。それにだいいち、お宮に のぼり が立つはずだが。」 こんなことを考えながらやって来ますと、いつのまにか、表に 赤い井戸 のある兵十のうちの前へ来ました。その小さなこわれかけた家の中には、おおぜいの人が集まっていました。よそ行きの着物を着て、こしに手ぬぐいをさげたりした女たちが、 表のかまど で火をたいています。大きななべの中では、何かぐずぐずにえていました。「ああ、そうしきだ。」と、ごんは思いました。「兵..

Japanese Arts 2024.05.19