Japanese Arts

ごんぎつね 第四章

Jimie 2024. 5. 19. 06:44


 

 

第四章

月のいいばんでした。ごんは、ぶらぶら遊びに出かけました。中山様のお城の下を通って、少し行くと、細い道の向こうから、だれか来るようです。話し声が聞こえます。チンチロリン、チンチロリンと、 松虫 が鳴いています。

ごんは、道のかたがわにかくれて、じっとしていました。話し声は、だんだん近くなりました。それは、兵十と、加助かすけというお百姓でした。

 

「そうそう、なあ、加助。」
と、兵十が言いました。
「ああん。」
「おれあ、このごろ、とても不思議なことがあるんだ。」
「何が。」
「おっかあが死んでからは、だれだか知らんが、おれにくりや松たけなんかを、毎日毎日くれるんだよ。」
「ふうん。だれが。」
「それが、分からんのだよ。おれの知らんうちに置いていくんだ。」

ごんは、二人の後をつけていきました。

「ほんとかい。」
「ほんとだとも。うそと思うなら、あした見に来いよ。そのくりを見せてやるよ。」

それなり、二人はだまって歩いていきました。

 

加助が、ひょいと後ろを見ました。ごんはびくっとして、小さくなって立ち止まりました。加助は、ごんには気がつかないで、そのままさっさと歩きました。吉兵衛きちべえというお百姓のうちまで来ると、二人はそこへ入っていきました。ポンポンポンポンと、 木魚もくぎょ の音がしています。まどの しょうじ に明かりが差していて、大きなぼうず頭がうつって、動いていました。ごんは、「 お念仏ねんぶつ があるんだな。」と思いながら、井戸のそばにしゃがんでいました。しばらくすると、また三人ほど人が連れ立って、吉兵衛のうちへ入っていきました。おきょうを読む声が聞こえてきました。

 

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